杏仁
地元の中学校では今週末に文化祭があります。
地元の名産品にちなんで「杏」の字が使われ「杏苑祭」と呼ばれていますが
古来よりこの杏は、杏仁(きょうにん)として生薬として利用されてきました。
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「あふからも ものはなほこそ かなしけれ わかれむことを かねておもへば 」
「逢ふからも 物はなをこそ 悲しけれ 別れぬ事を 予ねて思へば 」
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古今和歌集では、清原深養父(きよはらのふかやぶ)も
その和歌の中に使用しているほど昔から杏は親しみのある果物だったようです。
*現在の杏である「唐桃(からもも)」が和歌の中に隠されています。
当初は薬効目的で栽培された杏ですが、
果実を食べるようになったのは近代になってからといわれています。
むしろ薬効目的で栽培されたのが最初で、
実を食べるようになったのは近代になってからと言われています。
この杏仁は、あんずの種の中身を利用し、その効能は
「咳止め」「便秘解消」「ぜんそく発作のやわらげ」「利尿作用」「鎮痛作用」などあるそうです。
この効能の多さから杏を生薬として利用していた中国では、
医者のことを「杏林(きょうりん)」と呼んでいたんだそうです。
注意したいのは、この杏仁に含まれている成分の1つである
アミグダリン( C20H27NO11)には毒性があり、加水分解されるとシアン化水素を発生します。
この成分は梅やビワなどにも含まれていますが
エムルシンという酵素と一緒になると青酸を発生させてしまいます。
この青酸は時間の経過とともに薄れていきますが毒性物質のため
生薬として利用される場合は専門家のアドバイスを受けてからの利用が必要です