サルでもわかる量子論 第1回 ~ラプラスの悪魔はなんでもお見通し~

第1回  ~ラプラスの悪魔はなんでもお見通し~

Clipboard01119世紀、フランスの数学者ラプラスは、皇帝ナポレオンに著書を献呈し、「なぜあなたの書物には「神」という言葉がでてこないのか?」と問われた際に、「私の書物には、そのような仮定は必要ないのです。」と答えた。彼は、自然現象は科学法則だけで説明できるという信念を持っており、ニュートンが確立した運動方程式により、全ての物理現象は計算可能であり、仮に全宇宙の全ての素粒子の運動を計算出来たとしたら、未来について正確に予測出来ると考えた。

この様な決定論的世界観、及びその様な計算の出来る存在を「ラプラスの悪魔」と呼ぶのだ(この表現がポケモンのラプラスにつながるのかな?)。例えば野球のボールがバットで打たれた瞬間に、その時の初速度、角度、回転、空気の流れなどによって、ボールが落ちる位置は正確に決まっているはずである。ならば、全ての物質は「素粒子」というボールのような存在の集合体であるのだから、それぞれが運動方程式に従っており、当然今の状態から次の状態は必然的に決まっていることになる。人間の意志にしても脳という人間細胞が作り出したものであり、細胞も結局のところ「素粒子」というボールのような存在の集合体であるのだから、物理法則に従っている事にかわりはない。

そう考えると、この世界、宇宙はビッグバンが起こった瞬間に、未来永劫既に決まっている事になり、人間はそれを予測出来ないだけであり、「ラプラスの悪魔」には全てがお見通しという事になる。これこそが、19世紀における物理学(古典物理学)を端的に述べた考えである。