物理の森 「仕事とエネルギー」
◆仕事W[J]=力F[N]・距離ⅹ[m]
T:「仕事」ってなんやねん?
M:物体に「力」を加えて、その「力の向き」に「ある距離」動かすことを、「仕事」って呼ぶんだ。
T:ん? なんや難しいの~。
M:たとえば僕が会社行くね? で、「会社の定めた方向」に沿って、「行動」を「ある時間」おこなうと、それが「仕事」なんだ。「
T:ほうほう。
M:「行動」が「力」、「会社の定めた方向」が「力の向き」、「ある時間」が「ある距離」に対応すると考えればいいね。
T:じゃぁ、「仕事」すると給料もらえるん?
M:うん。現実の会社だと「仕事」すると給料というお金をもらえるけれど、物理の世界だと、もし「正の仕事」をすれば「ジュール[J]」という単位のエネルギーをもらえるんだよ。
T:「正の仕事」?
M:うん。ポイントは「会社の定めた方向」っていう部分ね。そりゃそうでしょ? 会社の定めた方向と 180° 正反対の行動をしていたら、お金をもらえるどころか、損失になって払わなくちゃいけないでしょ?
T:あ、なるほどね。
M:だから、基本は「仕事W=力F×距離ⅹ」なんだけど、たとえば「力」が進行方向と逆向きの「負の力」だったり、あるいは「距離」が力の向きとは逆の「負の距離」だったりしたら、「仕事」は「負の仕事」になる場合もあるんだ。
T:その場合、お金なら「もらう」やなくて「払う」んやろけど、エネルギーなら、どないなるん?
M:たとえば、お金を払うということは、「借金」をもらうということだよね? この「借金」は「負のお金」という意味だ。 つまり「負の仕事」をした場合は、「負のお金」、すなわち「負のエネルギー」をもらえると考えればいいよ。
T:じゃぁ、 会社の定めた方向と斜めずれていて 30° ぐらいの方向で仕事したら?
M:その場合は、30° 方向の力をベクトル分解して、会社の定めた方向の成分の力だけを用いるんだ。
T:じゃぁ、 会社の定めた方向と 90° の方向で仕事したら?
M:うん、これは実は重要。90° の方向って、力の方向と直角になっているんだけど、この場合は、会社の定めた方向でもなければ、会社の定めた方向の逆でもないよね。会社にしてみれば、損も得もない、まるっきり関係のない方向なんだ。で、この場合の仕事は、ゼロ0 になる。まぁ、そもそも 90° 方向はをベクトル分解できないことから考えても、仕事は、ゼロ0 だよね。
T:ということは、「正の仕事」をすれば、お金がもらえて、「正のエネルギー」がもらえる。「負の仕事」をすれば、お金を払って、「負のエネルギー」をもらうことになる。そんな感じ?
M:そうそう。
T:でも、お金やったら、もらった後、あれこれ買って使えるやん。エネルギーって、もらった後、何に使えるん?
M:うん、エネルギーっていうのは「ある力のものをある距離移動させることができる可能性」って考えればいいかな。つまり、エネルギーを貯めれば、その後その物体を運動させてある距離移動させられるんだ。
T:可能性? その後?
M:そうそう。いいイメージだね。「仕事」は、ある物体を移動させた結果生じるもので、つまり「過去形」。「エネルギー」は、これから物体が移動する可能性で、つまり「未来形」ってイメージかな?
T:ほ~~。で、今日の会社の仕事は終わったん?
M:・・・せめて負の仕事にならんよう頑張らないとだね。