物理の森 「力学的エネルギー」
◆力学的エネルギー
運動エネルギー
位置エネルギー
運動エネルギー
位置エネルギー
T:エネルギーって「ファイト~~!」「いっぱ~~つ!」っていう、アレか?
M:あれも、エネルギーの一種だけどね。ところで、前回、エネルギーっていうのは「これから物体が移動する可能性」だって話したよね?
T:「可能性」だから「未来形」っていうイメージだと。
M:そうそう。例えば、地上11メートルの地点に僕が立っていて、その手に0.2キロのリンゴを持っているとする。
T:ほ~。
M:で、その手を離すと、どうなるだろう?
T:下にいる人が危険になるだろう。
M:まぁ、そうだね。よい子はまねしちゃダメだよ。ところでリンゴは地上1メートルの地点でどうなるだろう。
T:落ちている最中やんか?
M:そうそう、どのくらいのスピードで?
T:ごっつい速いで。
M:じゃぁ、そのスピードはどこから来たんだろう?
T:ん? そりゃ高い所から落としたからやろ?
M:そうそう。そこそこ。
T:どこどこ?
M:実は、高い所にある物体は、「高い所にある」というだけで、あるエネルギーを持っているんだ。それを「(重力による)位置エネルギー」って呼ぶんだ。
T:その「(重力による)位置エネルギーU」が「質量m[kg] × 重力加速度g[m/ss] × 高さh[m]」 なんやね?
M:そう。そしてその「位置エネルギー」は「これから物体が移動する可能性」をもっていて、実際に、相当なスピードとなって落下していくことになる。
T:つまり、リンゴが落ちるスピードは「位置エネルギー」から来ているというわけだ。
M:ところで、動いている物体にも「スピードがある」というだけで、あるエネルギーを持っているんだ。それを「運動エネルギー」って呼ぶんだ。
T:その「運動エネルギーK」が「1/2 × 質量m[kg] × 速度ⅴ[m/s]の2乗」 なんやね?
M:そうそう。
T:ということは、「(重力による)位置エネルギー」が「運動エネルギー」に変わったんかな?
M:高い位置にある物体は「(重力による)位置エネルギー」を持っていて、手を離すと高さが減る代わりにスピードが出て、「運動エネルギー」に変換されていくというわけだ。
T:計算できるね?
M:うん。ポイントは位置エネルギーの基準をどこにとるかだね。実は、位置エネルギーの基準はどこでもいいんだ。好きな所に決めて考えればいい。
T:地面0メートルの高さじゃないの?
M:うん、もちろん地面0メートルの高さでもいいんだけど、それだと、計算が面倒になるんだ。今回は地上1メートルを基準にとれば、地上1メートルは高さ0メートルになるから位置エネルギーは 質量0.2[kg]×重力加速度9.8[m/ss]×高さ0[m] で、合計0[J] になるね。
T:すると、地上11メートルは基準からの高さが10メートルになるから位置エネルギーは、質量0.2[kg]×重力加速度9.8[m/ss]×高さ10[m] で、合計19.6[J] ということか。
M:それで、その19.6[J]の位置エネルギーが、地上1メートルの位置では、運動エネルギー 1/2×0.2[kg]×速度ⅴの2乗 になるんだ。すなわち 0.1×ⅴの2乗 = 19.6 なので、速さⅴ=14[m/s] になるね。
T:逆に「運動エネルギー」が「(重力による)位置エネルギー」に変わることもありそうやね。
M:秒速7メートル毎秒で0.02[kg]のパチンコ玉を斜面上向きに転がすとどこまで登るか?
T:その時の運動エネルギーは 1/2×0.02[kg]×7の2乗 になるんだ。すなわち 0.49[J] やろ? これが高さHまで登る。
M:登った最高点では速度は 0メートル毎秒 だから運動エネルギーは 0[J] だよ。
T:それやったら運動エネルギー 0.49[J] が、位置エネルギー 0.02×重力加速度9.8[m/ss]×高さH[m] = 0.196H[J] になるんやろ? 計算して・・・2.5[m]か。
M:ご名答!
T:ところで、「(重力による)位置エネルギー」は必ず「運動エネルギー」になるんかな? あるいは、「運動エネルギー」は必ず「(重力による)位置エネルギー」になるんかな?
M:うん、「(重力による)位置エネルギー」と「運動エネルギー」の和は「力学的エネルギー」と言って、基本的には保存されるんだ。「力学的エネルギー」はどこでも一定なんだ、基本的には。
T:基本的・・・って、ひっかかるな。
M:じゃ、それは次回。
T:さよか。ほなさいなら。
M:ばいばい。