おもしろすぎる小論文! 順天堂大学(医学部)

順天堂大学医学部の実際の入試問題である。

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なんともおもしろい小論文の問題であるが、模範解答がまた、なかなか秀逸なのである。
 私は仲間と共に森の中を歩いてきて、暗い場所から明るい場所へと出ようとしている、地面が少しでこぼこしているから転ばぬように彼女と手をつなぎ、足元に注意するよう彼女に促す。彼女を共に傍らに咲いた花のよい香りを味わい、どこからか聞こえてくる鳥の鳴き声に耳を傾ける。暗がりから明るい場所へ出たからだろう、あふれる光と開放感から、私は明るい未来を想像する。
もちろん、未来ではどんなことが起こるとも限らない。明るく見通しが利くとはいえ、つまずいて転ぶこともあろう。この場所の向こうにはまた木々が鬱蒼としている。あそこから突然獣が飛び出してくるかもしれない。この森の先にはもう道がない可能性だってある。そうした不安がないわけではない。
だがそんな不安に好奇心が勝る。この美しい花をつけているのはんといきなのだろう。此花の名はなんと言うのだろう。先ほどから鳴いている鳥はいったいどんな姿をしているのだろう。これから先、さまざまな新しい物事と出会うことになるだろう。明るい未来と新しい物への好奇心に胸が躍る。
そんな好奇心を、彼女とつないだ手がなだめてくれる。私は自分ひとりで歩いているのではない。私の傍らには、同じ道を歩んできた彼女がいる。彼女のことを考えることで、新しいものにのみ向けられていた私の視線は、私達二人と、私達を取り巻く集日へと広げられる。自分の好奇心にのみとらわれて、そばにいる大切な存在をないがしろにしてはしけない。そう自戒する。
そして彼女とつないだ手は同時に、私が彼女を支えるのみならず、綿時もまた彼女によって支えられていることを実感させてくれる。一人では解決できない問題に突き当たっても、二人なら乗り越えられることができるに違いない。彼女と共にあればこそ、私は何が起こるか分からない未来に向かって、強い意志を持って歩んでいくことができるのである。(796字)
 写真を見る限り、まだほんの幼い子のようだが、模範解答では大人目線で実に状況を冷静に見つめ、象徴的表現を用いながら、人生に対する考察を淡々と述べている。
なるほど、そういう方向で攻めてきたか・・・
でも、子ども目線で答えを出すのが間違っているというわけでもあるまい。子どもというのは、時に大人が驚くような発想をし、大人がすでに忘れてしまった独特の感性と理論を持っている。その部分を上手に表現できれば、それもアリだろう。 ただ、(受験生も含めて)私たちは大人になり過ぎている。子どもの立場から物事を書くのはむずかしいだろうなぁ。
皆さんなら、どんな解答を書くのであろうか。