模試結果をどう考えるか
高校受験直前となりました。今回は志望校合格に向け最終段階にある受験生にとって気になる「模試結果」についてお話ししたいと思います。
時習館で実施している「統一模試」や他塾などで実施している模擬試験は「志望校判定」をおこなっています。この結果を見て最終受験校を判断する、という方も少なくないと思います。
確かに模試結果は長野県後期選抜でどのくらいの結果が残せるのか、そして他の受験生がどれくらいの点数を取るのかを「シミュレーション」する上で欠かせない客観データといえます。
ただし、模試結果を「うのみ」にするのは少々危険な意味もあります。理由は3つあります。
[理由1]模試結果=本当の実力とは言い切れない・・・これは特に模試を受けた回数の少ない方に知っておいていただきたいことです。出題範囲や得意不得意分野、さらに慣れない環境や緊張など模試には様々な成績を左右する要素があります。何度も模試を受けて自分の実力がある程度(偏差値で平均上下2~4ポイントくらい)落ち着いてきていれば「信用に足るデータ」と言って差し支えないと思います。しかし1~2度の模試結果のみで実力判断するのはどうかと思います。学校のテスト結果の分析はもちろん、実際の長野県入試の過去問を解いたり、まだ間に合う直前模試を受験するなどしておいた方がより正確な判断ができると思います。
[理由2]競争倍率によって難易度は変化する・・・模試における合否判定は、基本的に過去の受験生の合否結果を元に割り出しています。母集団が多ければ多いほど、そのデータの信ぴょう性は高いわけですが、注意すべき点もあります。その代表が「競争倍率」です。例として「昨年、競争倍率が高かった学校」を考えてみますと、受験生の合格ラインは例年より高くなりがちです。その結果が模試の判定にも反映されます。しかしながら今年も同様の競争倍率になるかどうかは、実はわかりません。まあ、長野高校のような地域のトップ校の場合はそれほど競争倍率の影響は出にくいのですが、屋代高校や篠ノ井高校などの「合格最低点」を複数年で見ていきますと、数十点変化していることがわかります。これはほぼ競争倍率と比例しています。ですから、ボーダーラインぎりぎりの受験生にとっては、模試判定も大事ではありますが「競争倍率がどう変化するか」の方がより重要であると言えます。
[理由3]最後は受験生自身のモチベーション・・・実際に毎年受験生の指導をさせていただいていますと、最後の1週間で「合否が逆転する」というケースもあります。それくらい受験学力というものは変化しており、成長力と言いましょうか、ヤル気をもって取り組む生徒さんは短期間でも点数アップを実現するものなのだなと感じます。したがって、今の時点での学力をもとに判定することも確かに大事なのですが、それ以上に受験当日まで実力を伸ばす、ということが何より大切だと思います。その意味で、現時点で判定が厳しいものであっても、逆にそのことをバネに努力すれば合格に至ることもまた事実と言えるでしょう。この高校にどうしても行きたい、という強い思いが努力と結びつくことで予測を越えた結果をもたらすわけです。
以上、模試結果はあくまで「参考」という意図でお話しさせていただきました。その上で1つだけアドバイスを。・・・模試そのものは、実はとても受験に役立つ「テキスト」でもあります。しっかり復習することで学力をより高めることができます。そうした観点でぜひ模試を有効活用していただければと思います。