ピタゴラスの謎
数学の「三平方の定理」を発見したとされるピタゴラス。現代においてもっとも有名な数学者の一人と言っていいでしょう。また「音階」を最初に発見した人としても有名ですし、「ギリシア哲学の祖」と呼ばれることもあります。・・・しかしながら、実はピタゴラスは生没年も不明で著書も残っていません。謎多き人物なのですね。
謎その1 なぜ没年が不明なのか?
普通「偉人」と呼ばれるような人は生まれた年は不明であっても没年はハッキリしているケースが多いです。なぜなら多くの人がその人の死に立ち会っており、その記憶を後世に残すからです。ところがピタゴラスの場合、彼の支持団体である「ピタゴラス派」と呼ばれる人たちが彼の死後当時の権力者によってほとんど抹殺されたらしいのですね。その際、書籍類も処分されたと思われます。普通、そこまで権力者に敵視されればピタゴラス自身の業績も歴史上から抹殺されたでしょう。しかし、彼の偉業は権力者による弾圧を越えて伝承されました。史書によると死後500年ほどしてから復権がおこなわれたようです。
謎その2 ピタゴラス派とは何か?
いわゆる三平方の定理は、実はピタゴラス自身が発見したかどうかはよくわかっていません。ただし、彼が作った教団「ピタゴラス派」が世に三平方の定理を知らしめたのは歴史的事実のようです。ところがその教団、活動内容は謎が多く、なぜ当時の為政者と反目していたかもわかっていません。現代でも意見が分かれており、カルト集団のようなものだったという説もあれば、自給自足の穏健で進歩的な集団であったという見解もあります。
謎その3 エジプトで何を見たか?
ピタゴラスは若い頃エジプトに留学しています。当時エジプトは文化的最先端の地。ここで学んだことが彼の偉業の土台となったことは確かなようです。ご存知のようにエジプトのアレクサンドリアには世界最大の図書館がありました。この蔵書はパピルス70万巻に及ぶとされその中には現代では失われたテクノロジーもあったという意見もあります。(残念ながらこの蔵書はすべてローマ時代に焼失してしまいました。)ピタゴラスが数学にとどまらず、多くの分野に才能を示したのも、この図書館における学びが背景にあったのかもしれません。