酸と塩基 定義と覚え方

ところで、酸とは何なんでしょう?
そして、塩基とは何なんでしょう?
「酸」とは、”水素イオンH+を放出する物質”のことです。
化合物中に”H”をもつ塩酸、硫酸、炭酸、カルボン酸など「~酸」という名前の物質はすべて酸です。
では、「塩基」とは何でしょう?
答え方としては2つあります。
まず、“水酸化物イオンOHを放出する物質”のことです。
水酸化ナトリウムNaOHや水酸化カルシウムCa(OH)2に代表されるように、化合物中に”OH”をもつ物質が該当します。
スウェーデンの科学者アレーニウスは、1884年に上記のように

酸(acid):水に溶けて電解し水素イオンHを出すもの。
塩基(base):水に溶けて電解し水酸化物イオンOHを出すもの。

と提唱しました。
ところが・・・
実際にはOHをもたないけれども塩基としての性質をもつ物質があるんです。
その代表格が、アンモニアNH3
アンモニアは化合物中にOHがないにも関わらず、塩基としての性質を示すんですね。
そこで、アレーニウスが提唱した定義では、対応出来なくなったため、
1923年にデンマーク人化学者のブレンステッドとイギリス人化学者ローリーの2人は、
「酸と塩基」の区別を違った角度から定義し直しました。
それが、コレ。

酸(acid):水素イオンH与える物質
塩基(base):水素イオンH受け取る物質

このように定義しなおすことで、OHを持たないアンモニアはHを受け取ることから塩基と分類することが出来るようになりました。
【アンモニアのイオン反応式】

NH3+H+→NH4+

この式を見ると分かるように、アンモニアはHを受け取っていることから、塩基だと区分けされます。
結局のところ、酸と塩基の関係はH+の授受関係にあります。
酸がH+を生じ、塩基がそのH+を受け取る
すごく単純なこの関係が酸・塩基を学習するにあたって、重要なんです。
この凄く当たり前な関係が、後々の「中和滴定」にも使われるためしっかりと覚えておいて欲しい。
ところで、酸と塩基には強弱が存在しています。
その強弱は、どのように覚えれば良いのでしょうか。
【強酸】・・・3種類覚えましょう

塩酸 HCl

硝酸 HNO3

硫酸 H2SO4

この3種類以外は、基本弱酸になります。
弱酸の代表例は、

酢酸 CH3COOH 

炭酸 H2CO3
ですね。炭酸は、ジュースに入っていますがあれがもし強酸だったとしたらとても飲めたものじゃない。

そして、一方強塩基は
【強塩基】・・・5種類覚えましょう

水酸化カリウム KOH

水酸化ナトリウム NaOH

水酸化リチウム LiOH

水酸化バリウム Ba(OH)2

水酸化カルシウム Ca(OH)2

覚え方は、OHの前に付く元素の頭文字をとって
「か(K) な(Na) り(Li) バ(Ba) カ(Ca)」と覚えましょう